「 」
通りなれた道。どれを見てもちがう緑色の木。なんかいつもよりキレイに見える。葉っぱの枚数なんて数えない。ガードレールの端っこが黒く汚れていて、誰かがぶつかったのかなぁとか考える。走っているおじさん。すごい汗とふくらはぎの筋肉。目的地もなくダラダラ走る。太ったお兄さんがポケットに手を突っ込んで歩いてる。もし、いま世界からポケットがなくなったら、あの手はどうなるんだろう。たぶん、この世にポケットがなくても人間は大して困らない。太陽が元気でちょっと汗をかく。前を走る車にのっている犬がこっちを見る。今日だけで何台の車がこの目に映ったのか。車の燃料は命で、人間は人間を殺すために今日も車に乗ってどこかに行って。懐かしい道から知らない道。知らない道が知ってる道につながった時の安心感。道はちゃんとつながってる。走って止まって走って。黒い煙と川と橋。道路道路パトカーパトカー。パチンコ屋。なんか食べたい。そのうち人は車に運ばれる。ドナドナ。輸血されるくらいなら死んだほうがマシって人に満面の笑みで輸血する人はどんな人なの。大人と子どもと。時速40キロの景色が流れる。何もかも数えない。なんか今日は緑がキレイ。明日はあるのか。命の代償は。風か空気か緑の葉っぱか。緑黄緑黄緑緑。赤い信号。先頭ぜったいフライング。国道直進右左。ダラダラだらだら。何も知らない。